骨董品多数:古代・中世ヨーロッパの耳かき

西の雄:ローマの耳かき

古代ローマの耳かき

耳かきは西の文化の中心であったローマの遺跡からも多数見つかっています。
これらの耳かきは、ラテン語で小さな舌、あるいは小さじを意味する「Ligula」の一種として分類されているようです。

発掘される耳かきの素材は骨、ガラス、金などで、最も多いのは青銅製の物です。
形状は先端部が少し膨らんでおり、日本人がイメージする耳かきよりも、もっとスプーンに近い形をしています。

ローマ耳かきセット 2

また、同サイズの爪楊枝や毛抜きとセットになっていることが多いのも特徴です。
これらのセットには根元に穴があけられて、リングや鎖などで一つにまとめられています。

ヴァイキングの耳かき

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ヨーロッパの耳かきを語るうえで、重要な存在が「ヴァイキング」です。
ヴァイキングは西暦800年~1080年ごろの間、西ヨーロッパ沿岸で交易(たまに略奪)を行った、スカンジナビア半島やバルト海沿岸出身の人々から成る武装船団のことを指します。

ヴァイキングといえば角付き兜の野蛮な海賊のイメージがありますが、実際は目的と収入の大部分は交易で、兜も後の十字軍が採用したようなシンプルな物でした。
優秀な造船術・航海術・地理知識・工業技術・軍事技術を有し、交易・商業にも精通した先進的な集団であったこともうかがえます。

ヴァイキング耳かき

ヴァイキングは身だしなみにも敏感で、櫛と共に耳かきも使っていました。
ローマ製耳かきの系譜を受け継いでいるようで、毛抜きなどとセットになっている物が基本です。
技術が発達したためか、非常に凝った細工が施された物もよく見られます。

ヨーロッパの耳かきとアジアの耳かきの違い

古代のヨーロッパも耳かきは存在していたのですが、アジアのそれとは決定的に異なる点があります。
中国などで発見された耳かきの多くは、かんざしなどの髪飾りと一体化している物が基本です。

これに対し、ヨーロッパではヘアピンなどを兼ねている耳かきは見つかっていないのです。
逆に、中国ではかんざし付き耳かきと共に、ローマのようなお手入れセットも見つかっています。

かんざしに耳かきがついているということは、着飾っているときでも手軽に耳を掻く習慣があったということでしょう。
ローマでも髪飾りは大いに流行っていたのですが、ローマ人にとっては耳かきは毛抜きや爪の手入れと同様、人前では見せないケアの一環であったと推測できます。

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