機能性も良好:象牙耳かき

上品な高級さ

象牙耳かき

象牙はライオンやオオカミの牙と異なり、犬歯ではなく切歯(前歯)です。
クリーム色がかかった上品な白さと、きめ細かい幾何学的な模様の美しさに加え、適度な硬さで精密な加工がしやすい性質を持つことから、古来より彫刻の材料として重宝されてきました。

象牙といえば印鑑の材料に使われている事でも有名です。
これは彫刻しやすいので細かい文字を彫ることができることと、インクがよく馴染むので判を綺麗に押せることが理由です。

象牙の性質

象牙といえば

硬そうに見える象牙ですが、実は適度な弾力性があり、三味線の撥(ばち)として最高級の素材であるとされています。
耳かきにした場合も、プラスチックでは真似できない「しなり」による心地よい掻き具合を出してくれます。

もう一つの特徴が「吸湿性」です。
朱肉のインクが良く馴染むのと同じように、象牙は肌の表面にある水分を吸収して、独特のしっとりとした感触と冷たさをもたらしてくれます。
こちらもプラスチックでは真似できない特徴で、耳だけでなく持つ手にも心地さあります。

象牙の希少性

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象牙は古くから愛されてきた素材ですが、それゆえにゾウの乱獲につながり、個体数の減少を招きました。
こうした状況を踏まえ、ワシントン条約(CITES)によってゾウの牙を国際取引することは禁止されています。

その後、ゾウの個体数が安定して増加しているボツワナ・ナミビア・ジンバブエ(後に南アフリカが加わる)から、1999年、2007年、2009年に、自然死したゾウから集められた象牙が1回ずつだけ輸出されました。
今のところ日本で流通している象牙は、この際に輸入された物の在庫だけです。

輸出や取引が厳しく制限されているものの、中央アフリカなどにおける象牙目的の密猟は後を絶ちません。
こうした密猟象牙が武装勢力の資金源となっている実情もあり、象牙の取引そのものをなくすべく、国内取引も取りやめる国も増えています。

今後の象牙

2017年には中国の市場、2021年には香港の市場も閉鎖されるので、象牙製品を買える国は日本だけとなることでしょう。
一方で、政治的に安定していて密猟の心配がない国からは日本向けに販売したいという要望も出ていますが、先行きは不透明です。

日本での象牙製品の材料は、ゾウを殺さずに集められ、国際的に正当な手続きを踏んで取引された物です。
環境省から特定国際種事業者の認定を受けている所なら、間違っても密猟で殺されたゾウの牙を使った物は販売していないので安心して購入できます。

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