日本人の進化と耳垢の秘密:その2

大陸の血脈が日本人の耳垢に与えた影響

大陸からの渡来人は、出身地域や所属する国、血縁によって、いくつかの氏族を形成していました。
そうした氏族の中で有名なのが、秦氏(はたうじ)、東漢氏(ひがしのあやうじ)、西漢氏(かわちのあやうじ)などです。

これらの氏族は古墳時代以降に、機織り、建築、製鉄、養蚕などの技術を携えて日本にやってきて、有力者に召し抱えられて日本に帰化しました。

渡来人が仕えた国=乾性耳垢の人が多い県

有力者に仕えるということで、日本に来てから向かう先は権力が集中する強い国になります。
秦氏の場合、以下のような国に仕えたとされています。

渡来人の分布

豊前国(福岡県東部、大分県北部)
吉備国(岡山県、広島県東部、香川県島嶼部、兵庫県西部)
丹波国(京都府中部、兵庫県北東部、大阪府北部)

山背国(京都府南部)、大和国(奈良県)
河内国(大阪東部・南西部)
美濃国(岐阜県南部)、相模国(神奈川県)

東漢氏の場合は大和国、西漢氏は河内国を本拠地としており、渡来系氏族の多くの人が近畿地方に集結していたことが分かります。
近畿地方の乾性耳垢率が高いのは、これらの地域が古くから権力が集中する場所であり、海外からの技術者集団が多数仕えたことが原因と考えられます。

乾いた耳垢に隠された古来の秘密

渡来した人々は距離の近さから朝鮮半島を経由してくることが多かったのですが、当然ながら半島出身の人ばかりでなく、大陸出身の人も多数いました。
秦の時代には燕、斉、趙の人々が半島に亡命し、漢の植民地であった時は漢人が入り、ツングース系の高句麗人、女真人、渤海人も流入しています。

このため、渡来人と一言で言っても、長い年月にわたって何度もやってきた上、そのルーツは中国や東北アジアの広い範囲にわたり、かなり複雑です。
秦氏の出身元である百済が新羅に滅ぼされてしまったように、発祥の地では失われた血脈が日本人の中に残されているケースもあります。

もしかすると、あなたの乾いた耳垢は、はるか古代に滅んでしまった血脈のなごりなのかもしれません。

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