地域ごとに特徴あり:日本人の耳垢分布

実は地域差がある日本人の耳垢

人類全体の耳垢の次は、日本人の耳垢についてみていきましょう。
日本における耳垢が乾性の人の割合は、全体の80%後半ぐらいと見られています。
世界全体でみるとかなり高い方ですが、隣の中国や韓国と比べるとやや低めです。

また、80%程度というのは日本全体における平均であり、都道府県別にみるとその値は最大で20%近く異なることも判明しています。

日本人の耳垢分布の研究

2005年に長崎県立長崎西高等学校が、各都道府県の高校・大学の生徒・教員からDNAサンプルを集め、耳垢の湿性・乾性の割合を調査する研究を行いました。
以下はその研究成果で、県ごとの乾性耳垢の人の比率と順位を表にしたものです。

日本人耳垢表

最も高いのは京都府で、乾性耳垢の人の率は98.1%にもなります。
割合でいうならば、世界的でも特に乾性耳垢の人が多い中国北東部並みです。

最も低いのは72.1%の岩手県、続いて74%の沖縄県となっています。
この値はベトナム人や、インド東部に住むドラヴィダ人と同程度です。
耳垢だけで見るなら、京都と岩手の間には、中国北東部とインド東側の間に相当する違いがあるということです。

日本の耳垢分布図

上の研究の成果を、日本地図に落とし込んでみました。
青が濃い県ほど乾性耳垢の比率が高く、少ないと色が薄くなります。

耳垢分布の図

結果を見てみると、近畿地方は乾性耳垢の人の割合が他の地域に比べて非常に高いことが分かります。
続いて四国北部と九州西部、つまりは瀬戸内海に面した地域が高いことが見て取れます。

逆に近畿から離れると乾性耳垢の人の率は低下し、東北と沖縄で最低となります。
北海道や東京はなぜか高いのですが、これは後で理由を説明します。

少数派の人たちの違い

日本少数耳垢図

世界の耳垢分布を調査した新川教授らの研究では、日本の少数民族にもスポットが当てられています。
この研究では、沖縄本島、与那国島、アイヌが対象になっています。

長崎は日本人全体の平均に近い値です。
沖縄は低いのですが、台湾に近い与那国島ではさらに低くなっています。

北海道のアイヌの人も、乾性耳垢の比率は東北と同様に低くなっています。
北海道全体でみると比率が92%を超えているのは、開拓史時代に本土の様々な場所から多数の人が流入したことが原因のようです。
これは全国から人が集まる東京での乾性耳垢率が高いのと同様です。

人が住める場所がそれほど多くない日本ですが、遺伝子で見てみると結構な多様性があることが分かります。

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