耳用カミソリ:穴刀

扱いが難しい職人道具

穴刀 2

穴刀(あなとう)は、いわば耳の穴用のカミソリです。
普通のカミソリに比べると細くて薄く、ペンナイフのような形をしています。

使うときは刃を耳の中に入れ、回すようにして耳毛を剃っていきます。
耳の中に刃物を入れるのはひやひやしますが、耳の毛が剃られる感覚は何とも言えない心地よさがあるともいわれています。

穴刀の歴史

穴刀を持つ

 穴刀が生まれたのは、江戸時代・寛政のころ(1790年代)であるとのこと
生まれたのは江戸の両国橋周辺で、ここは「並び床」と称するほど何軒も床屋が並んでいました。

そのうちの一つに、上総(現在の千葉県)生まれの吉五郎という老人が営む床屋があったと言います。
あるとき吉五郎は、何回も研いで使い続けて刃が細長くなってしまった剃刀を使い、鼻毛や耳毛を剃るサービスを開始しました。

これが評判を呼んで人気を集めたため、他の床屋も真似をして、床屋における穴刀による耳毛、鼻毛剃りサービスが普及したそうです。

消えつつある穴刀

穴刀 使い方 2

昔の床屋さんは耳かきサービスもしているのが普通で、穴刀による耳毛剃りも行われていました。
しかし、穴刀を扱って耳毛を剃るのはかなりの技術が必要であり、現在では耳かきをしてくれる床屋さんでも穴刀を使うところはほとんどなくなっています。

自分で使うことはできませんし、人にしてあげようにも下手をすると大けがにつながるので、一般の人が持っていても役には立ちません。
しかし、昔の耳かき文化を偲ぶ品しての価値は十二分にあるかと思われます。

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