耳かきの目的:耳垢とはなんぞや?

耳の中でも垢は出る

耳垢とは文字通り「耳で出来る垢」のことです。
耳の中とはいえども体の他の部分と同じように皮膚で覆われているので、当然ながら垢も出ます。

垢を作るのは、古い角質、皮脂、汗、そして埃やごみです。
どうしても汚いイメージがあり、実際に「老廃物」として排出されるものですが、実は体を清潔に保つメカニズムの副産物でもあるのです。

耳垢の成分1:角質

皮膚と垢

私たちを含めた哺乳類の皮膚表面は、角質という素材によって覆われて保護されています。
この角質はケラチンというたんぱく質の集合体で、細胞を形作っていた成分が積み重なって作られた物です。
死んだ細胞の骨格が固まった物といえるでしょう。

皮膚の細胞は新陳代謝によって下から入れ替わり、古い角質は剥がれ落ちていきます。
新しい細胞が生まれてから、角質となって落ちるまでの期間は約4週間です。
この剥がれ落ちた角質と、皮膚から分泌された脂や汗、付着したほこりなどが合わさったものが「垢」です。

耳垢の成分2:皮脂

 皮脂

垢を作るもう一つの重要な要素が「分泌物」です。
古い角質はかさかさとしていますが、ここに皮膚から分泌される脂や汗が混ざることで粘土状の垢となります。
さらさらの粉に水や油を混ぜるとワックスのようになるのと同じです。

分泌物の内、皮脂腺から分泌される皮脂はオイルの層のように肌を覆い、化学的・物理的に肌を守り、保湿する役目があります。
また、皮膚の常在菌が皮脂を分解して弱酸性にすることで、他の雑菌が繁殖することを阻止しています。

耳垢の成分3:汗

汗

汗を分泌する汗腺は、「エクリン腺(小汗腺)」と「アポクリン腺(大汗腺)」の二種類があります。
人間の場合、汗腺の大部分はエクリン腺で、「汗」というとエクリン腺から分泌されるものを指します。

耳の中にも汗腺はありますが、こちらはアポクリン腺だけで、耳垢腺とも呼ばれています。
他にアポクリン腺があるのは、腋の下、性器などの限られた場所です。

この腺から分泌される汗はアルカリ性で、脂質、たんぱく質、アンモニアを多く含んでおり、エクリン線の汗に比べると粘性が高いのが特徴です。
皮膚の菌に分解される際に出る臭いも強く、腋から出るアポクリン腺の汗は臭いの原因にもなります。

耳垢は健康な耳の証

耳垢は綺麗とはいいがたいし、耳の中がむずむずする原因にもなりますが、角質の新陳代謝、皮膚や汗の分泌は、耳の中を健康に保つためには必要不可欠です。
また、外から入って来た埃やごみをからめとって排出する役目もあります。

耳垢が出るのは、耳の穴の仕組みがしっかりと働いている証拠なのです。

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