耳掃除の舞台:外耳道

トンネルの裏側にある物

耳かきの舞台となるのは、鼓膜よりも外側にある外耳道と耳介です。
外耳道は内耳や中耳に比べると単純で、一見ただのトンネルのように見えますが、その裏側には体全体に広がる秘密が隠されています。

耳の皮膚

皮膚の構造

耳の中の皮膚は、体の他の部分のそれと基本的に同じ構造をしています。
汗や脂を分泌する腺や、毛穴などちゃんと存在しています。。

汗や脂、毛といえば美容の観点では嫌われがちな存在ですが、いずれも健康を保つために必要不可欠な物ばかりです。
分泌される脂(皮脂)は皮膚の潤いを保ち、有害な細菌の繁殖を防ぎます。
アポクリン腺は抗菌作用を持つ汗の分泌器官、毛は異物侵入を防ぐ防壁です。

耳の穴の構造

外耳道構造

外耳道は奥の方と外に近い方で構造が異なっています。
体の表面に近い部分3分の1は軟骨部、奥の方は骨部という名前です。

軟骨部は耳介と同じように、皮膚の下に軟骨がある部分です。
この部分には毛穴や脂の分泌腺が存在しており、耳垢はここで作り出されます。
皮膚の厚さは1.0~1.5mm程度です。

軟骨部によりも奥にある骨部は、皮膚のすぐ下が骨になっています。
ここの皮膚は厚さ0.1~0.2mm程度で、毛穴や分泌腺がないのでつるりとしています。

耳の中を通る神経

神経

外耳道の皮膚にも神経が走っているため、他の部分と同じように感覚があります。
軟骨部と骨部では構造だけでなく、走っている感覚神経の種類も異なっています。

軟骨部につながっている神経は三叉神経と呼ばれるもので、顔の皮膚やまぶた、唇、歯茎などの感覚をつかさどっている物と同じ系統です。
軟骨部の神経は三叉神経の中でも、下唇、下の歯茎、頬の感覚を受け取る「下顎神経」に属します。

これに対し、骨部に走っている神経は迷走神経という系統に属しています。
迷走神経は脳から出ている神経の中で、腹部にまで直接到達する唯一の系統です。
迷走神経の中で感覚を受け取るグループは、外耳道以外に、食道、気管、気管支、咽頭といった喉関連の部位、脳の硬膜、鼓膜の後ろ半分も走っています。

耳かきで奥の方を掻くと、迷走神経を通じてのどの感覚が刺激され、喉がむずむずしたり咳が出たりすることがあります。

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