我らがいとこ達:類人猿の耳

道具が使えるなら耳かきは?

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動物の多くが耳掃除をする必要が無いとはいえ、耳の中がかゆくなるのは避けられません。
犬や猫も耳掃除をしてもらうと気持ちよさそうにするので、もしも自分でできるのならば耳かきをしてもおかしくありません。

耳の中に指が入らないため、道具を使うのが得意な人間は耳かきを発明しました。
では、人間と同じように道具を使える動物は、耳かきをするのでしょうか?

道具を使う生き物

人間(ホモ・サピエンス)以外のヒト科の動物は、チンパンジー、ボノボ、ゴリラ、オランウータンの4種類で、いずれも道具を使う能力を有しています。
人間に飼育されているときに道具を与えられれば使い方を理解するばかりでなく、野生でも道具を工夫して使える能力の持ち主たちです。

道具を使うカラス 2

他にはカラスやオウム、カササギといった鳥が道具を使うことができます。
カラスは細い棒でアリの巣からアリを掻きだして食べることをしますが、くちばしで道具を扱うので耳をかくことができません。
タコも道具が使えますが、耳の穴がないので耳かきはしないでしょう。

道具を使うのはお手の物:チンパンジー

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チンパンジーは道具を作ったり使ったりするのが非常にうまく、群れごとに独自の道具文化を持っています。

例としては、以下のような物があります。
・台になる大きめの石に果物を乗せ、手に持った石で硬い果物を割る。
・棒を木の穴に突き込んで、隠れていた獲物を追い出す。
・噛んだ木の葉をスポンジ代わりにして水をすくって飲む

チンパンジーのアリ釣り 2

有名なのは「アリ釣り」で、細い棒をアリの巣に挿し込んで、棒に咬みついてきたアリを釣り上げて食べるという物です。
道具は蔓や草の茎、細かく裂いた樹皮などで、「太めの固い棒を差し込んで穴をあけ、そこに別の細い棒を差し込んで釣る」という方法も使います。

アリ釣りと同じような棒を使えば、耳をかくこともそう難しくはなさそうです。
耳かきについてはまだ確認されていませんが、もしかするとどこかのチンパンジーが、「耳がかゆいときに、耳に細い物を突っ込んでかく」という行動を始めるかもしれません。

使えないのではなく使わない:ゴリラ

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ゴリラが道具を使う様子は長年にわたって確認されておらず、進化の過程で道具を作る能力を失ったのではないかと考えられていました。
ゴリラは体が大きくて力が強いので、人間やチンパンジーが道具を使わないとできないことでも素手で行えるため、道具はそれほど必要ではないようです。

ただ、道具は使わないだけで、使えないわけではありません。
2005年に「川を渡る際に、木の枝で水深を測るとともに杖として使う」様子が確認され、道具を自分で用意して使えることが明らかになっています。

ゴリラのひらめき 2

野生では密猟者が仕掛けた罠の仕組みを理解し、安全に解除する知恵と手先の器用さを発揮して身を守ることもあります。。
ゴリラはベジタリアンなので、もしかすると細い枝から葉っぱを食べた後などに、「これを使えば耳をかける!」と気づくことがあるかもしれません。

実は手先が超器用:オランウータン

オランウータン

オランウータンはチンパンジーと同じく、道具を使うのが上手いことで有名です。
葉を噛んでスポンジを作って樹の穴に溜まった水を 吸ったり、大きな葉を傘代わりにしたり、ポンチョの様に着たりする行動が知られています。
チンパンジーが出来ることは、大抵はオランウータンも出来るようです。

枝もよく使う道具で、昆虫やハチミツを採集する、蜂から体を守る、果物やほかの枝をたぐり寄せる、体を掻くなど、いろいろな用途に使っています。
そして、オランウータンは実際に小枝で耳かきをします。

オランウータンのキキ

多摩動物園にいるメスのオランウータンの「キキ」は、小枝を使って耳かきをする習慣があります。
他の動物園や野生環境下では耳かき行動は知られていませんが、他のオランウータンが小枝で耳かきをしていても驚くことではないでししょう。

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