ヨーロッパ・アメリカ・オセアニアの耳かき事情

耳かき in 西洋世界

東から南アジアにかけての地域では耳かきが盛んなのに対し、それ以外での地域における耳かきはどうなのでしょうか?
ヨーロッパ、オセアニア、南北アメリカの耳かき事情を見ていきましょう。

ヨーロッパの耳かき

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ローマ時代やバイキング時代には、お手入れセットに耳かきが付属していました。
しかし、現在のヨーロッパでは耳掃除をすること自体がほとんどないようです。

耳垢が湿性の人が大半を占めているため、綿棒が発明された現代ではそちらを使えば十分になっていることが大きな原因かもしれません。
湿性の耳垢は押し込むと耳垢栓塞になりやすく、抗菌作用も強いために取りすぎるとかえって害にもなりえます。

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耳に物を入れることに対する忌避感が強いため、耳掃除は自分では行わず、もしも詰まったときは耳鼻科で診てもらうのが普通のようです。
綿棒を耳掃除に使わないように勧める通達が出ていたり、医者以外が耳に物を入れること自体が禁止されていたりする場所もあります。

オセアニアの耳かき

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オセアニアの耳かき事情もヨーロッパのそれとほとんど変わりません。
イギリスからの入植者の子孫が人口の多くを占めているので、耳に物を入れることへの忌避感は強いようです。

先住民であるアボリジニやマオリの人々は、人類がシベリアに行くはるか以前にオーストラリアに到達していたので、耳垢はほぼ完全に湿性です。
ヨーロッパとルーツは違えども耳垢の性質は同じような物なので、やはり耳掃除文化はないようです。

南北アメリカの耳かき

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南北アメリカ大陸もオセアニアと同様にヨーロッパ系の人が多い場所です。
アフリカ系の人はヨーロッパ系よりもさらに飴耳の人が多く、現代のアメリカ大陸では耳掃除に関する事情はヨーロッパと同じのようです。

アメリカ大陸に最初に到達した人々はシベリアから渡って来たので、乾性耳垢の人は少なからずいます。
両大陸とも長い歴史を持つ文化が多数存在し、いずれも高度な金属・石や工作技術を持っていましたが、現在でも耳かきらしきものは見つかっていません。

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ヨーロッパ人の侵略によって相当な数の物品が破壊されていますが、それでもインカやアステカ文明の滅亡、北アメリカのインディアン戦争は、西ローマ帝国の滅亡やバイキングの時代よりも後の出来事です。
ローマ人の耳かきのように、オークションで売られている物もありません。

もしかすると、乾性耳垢の人が少なくない社会であっても、耳かきが作られるとは限らないということなのでしょうか?
何とも興味深いところです。

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